佐藤優『資本主義の極意』 カネはどのように生まれるのか?

 

 

カネはどのように発生したのか?

マルクスは言う、資本主義社会は商品の集まりでできている、と。

結論から始めるが、商品相互の関係から、カネが生まれた。

なぜならば、物々交換は面倒くさいからだ。例えば、自分が肉を持っていて魚が欲しい場合、物々交換するためには、魚を持っていて肉を欲しがっている相手を探さなければならない。この面倒くささを回避するため、ありとあらゆる商品と交換できる商品、ーーマルクス経済学的に言えば[一般的等価物]ーーつまりカネが生まれた。カネは歴史的には金や銀が利用された。 (『夜と霧』によればユダヤ人収容所ではタバコが一般的等価物にされていたらしい。スープ一杯はタバコ3本とかなんとか。)(カネも商品のひとつに過ぎないというのは、筆者個人的にすごい衝撃であった)

 

カネはいつでも商品に交換できるが、商品はカネに交換されるとは限らない。マルクスはそれをこう表現する。

商品は貨幣を愛する。

が、『誠の恋が平らかにすすんだ例がない』ことを我々は知っている。

 

カネはあくまでひとつの商品にすぎないのであるが、商品世界において王のように振る舞う。このため拝金主義がうまれるのだが、それはまた別の話。