岡田尊司『マインド・コントロール』
以下は自分用のメモです
マインド・コントロールする側の特質
イギリスの精神分析学者アンソニー・ストーや、アメリカの精神医学者で、中国における洗脳を扱った『思想改造の真理』、オウム事件を詳細に分析した『終末と救済の幻想』などの著者で知られるロバート・J・リフトンが、グルの特性として挙げている点を要約すると、次のようになるだろう。
①グルは不安定な精神構造を抱え、妄想症や神経衰弱、自己断片化などに陥る瀬戸際にいる。
②グルは啓示を受け、「真理」を悟ったという確信を抱いている。その啓示は、三十代か四十代の苦悩や病気の時期に続いてやってくることが多い。
③グルは弟子や礼賛者必要とする。脆弱な精神構造を抱えているために、自分を支えるために彼らの賞賛や尊敬を必要とするのだ。
④グルは、弟子に「不滅の感覚」を与える。それは、「死をもものともしない感覚」であり、「自分の限られた時間を超えて、無限に続く存在の偉大な連続の一部であるという感覚」でもある。
⑤グルは弟子にとって、親よりも重要な存在であり、弟子は仕事も財産もすべてを擲って、グルとその偉大な目的のために尽くすことが求められる。
グルは、脆弱な精神構造に加えて、苦悩や病気の体験によって、極限まで追い詰められ、をこで啓示を得るという逆転をおこす。しかし、グルは真理を得た後も、自分一人の悟りによっては安定を得られず、弟子を獲得することによって初めて、自分の誇大な自己愛を支えるうことができる。弟子は、全てを擲って、グルとその理想に奉仕することが求められるが、その代償に弟子はグルと行動を共にすることで、不滅の感覚を与えられる。不滅の感覚は、グルの誇大な自己愛が抱いた万能感に由来すると考えられる。
結局、宗教的カリスマも政治的カリスマも、自らが聖者や神となる以外には救われなほどに、誇大に膨らんだ自己愛を抱えた存在だと言える。矮小な自己愛しか持たないものにとって、見掛け倒しに過ぎないとしても、自身と確信に満ちて「真実」を語るものは、強烈なインパクトをもって迫ってくる。
そして、自分もまた特別でありたいと願いながら、しかし、何の確信も自信ももてない存在にとって、「真実」を手に入れたと語る存在に追従し、その弟子となることは、自分もまた特別な出来事に立ち会う特別な存在だという錯覚を生む。
マインド・コントロールを受ける人の特性
①依存的なパーソナリティ
主体性と判断力が欠如し、過度に周囲に気遣いをするようなタイプ。
親がDVを振るったり、アルコール中毒だったり、あるいは過保護だったりするケースが多く見受けられる。
②高い被暗示性
超常現象を信じる。
③現在、及び過去のストレス
特に近親者との死別直後など
④支持環境の脆弱さ
周りに親兄弟・友達・知り合いなどがいない、など。ex.上京直後の大学新入生
マインド・コントロールの原理
第一の原理 情報入力を制限する、または過剰にする
→これは勉強法にも応用ができそうな技術。刑務所みたいなところに放り込んで、本を参考書を一冊だけ与える、とか。
第二の原理 脳を慢性疲労状態におき、考える余力を奪う
→兎に角、寝させないとのこと。
第三の原理 確信をもって救済や普及の意味を約束する
以下の記述がイカす。
救済者というものは、人々を現実的に救うというよりも、救いを約束するという構造をもっている。いついつになればとか、何かをすればとか、条件がつくのだ。本当に救う気があるのなら、先のことを約束などもせずとも、黙って救ってくれればいいのだが、それでは救世主は成り立たないのだ。最大の前提として、私を信じれば、救われるとだろうと、人々が信じることを要求する。ある意味、信じるということを介してしか、『救済』も起きないからだ。
第四の原理 人は自分を認めてくれた存在を裏切れない
第五の原理 自己判断は許さず、依存状態に置き続ける
→企業って、洗脳装置そのものではなか?たとえば某居酒屋では、閉鎖的な環境で長時間労働が強要され身体はクタクタ、マニュアル通りに作業することが求められ主体性を発揮する余地はなく、、おまけに労働する俺カッコイイみたいな価値観を上司が保証してくれるところでは。
無意識を操作する技術
相手を直接説得すのではなく、善意の第三者を装い、間接的に仄めかす。「なろうと思えば、王にもなれるのに」
ミルトン・エリクソンのダブルバインド
たとえば子供に勉強をさせたいときに、露骨に「勉強しなさい」と言ったところで、あまり効果はない。共用されたと感じると、人は本能的にそれに抵抗しようとする。こうしたときに、ダブルバインドの技法を使って、「国語と算数と、どっちからやろうか?」「宿題、ママと一緒にやる?それとも、一人でやる?」と尋ねると、子供は、大体どちらかを選び、すんなりと勉強に取りかかれる。
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