チャールズ・ブコウスキー『勝手に生きろ!』

 

勝手に生きろ! (河出文庫)

勝手に生きろ! (河出文庫)

 

 失業して、雇われるだけの話。それが5ページに1回くらいのサイクルで最後までひたすら繰り返される。

職を見つける。業務中に酒を飲む、ギャンブル、盗む、喧嘩などの理由で解雇される。その合間に女とファックしたり、酒浸りになったりの無限ループ。
 
「クビだってこと、わかってるな?」
「上司の考えてることくらいお見通しですよ」
「チナスキー、おまえは1ヶ月間、すべきことをしなかった。自分でもわかってるはずだ。」
「おれは頑張ったのに、あんたが認めてくれないだけですよ」
「頑張ってないだろうが、チナスキー」
おれはうつむいて、しばらく靴を見ていた。なんて言っていいのかわからなかった。そして彼を見た。「おれはあんたに、自分の時間をやった。おれがあんたにやれる、ただ一つのもの・・・・・・。誰もが持ってるものを。時給たった一ドル二十五セントで」
「おい、働かせてくださいって頼んだのはおまえじゃないか。ここは第二の故郷ですって言ったろう」
「・・・・・・おれの時間のおかげて、あんたは丘の上の豪邸に住み、豪勢に暮らせるんだ。この取引でなにかを失ったやつがいるとしたら・・・・・・それはおれだ。そうだろ?」